Special Long Interview

◆Hipgig
ソロライヴには欠かせない楽器になった。

……若干、お尋ねする時期が過ぎてしまった感がありますが、少し遡り、楽器のことをお尋ねします。
“ストレンジ・ボトム・スタイル”のパーカッションセットから、2012年のツアーから、ミニドラムセットに変わりました。バスドラの口径は小さめで16インチのYAMAHAのHipgigです。何故パーカッションセットからミニドラムセットに変わったんですか?

上田:うーん、実はメインの歌の時に、フルドラムセットを叩きながらは、あまり唄いたくないのが本音なんだ。
何故かと言うと、ヴォーカルが思いっきり浸食されるから。
ドラムという楽器は高い音から低い音までの楽器の集合体で、演奏時はだいたい3つ4つを常に一緒に鳴らしている状態だから、音幅広ーい幾つもの倍音が出ているんだ。ドラマーがヴォーカリストの場合、色んな人がそうだけど、ポピュラーな存在になって歌う場面が増えて来ると段々楽器を離れていくんだよね。それは本来のヴォーカルの力が出しづらいからなんだ。
勿論それでも、ちゃんとやれてる人も居るけどね。
それにPA(音響)の方も、ドラマーのヴォーカルは同じ理由で倍音が歌マイクから侵入してちゃんとは拾い難いから、外のヴォーカル音色も制限してくる。この事情もドラマーが背負い込む事になる。
例えばギターを弾きながらや、キーボード鳴らしながら歌う人と、ドラマーが歌うのとでは環境負担がかなり違うんだ。それを減らすために僕はソロ用に、全体の倍音が少なめな、パーカッションのスタイルを選んだんだよね。
でも、演る度に改良を重ねたし、パーカッションセットは音は控えめでいいんだけど、生ドラムセットでは無いから(生との混合セット)、PAの人の個性によって、いくらでも機械音のキックの加工や、その上げ下げが自在過ぎて、上のセットとのニュアンスにズレが生じる場合も出て来る。キックが強調され過ぎて、外の音のバランスが崩れてしまう事がよくあったんだ。
だったら、自然にバランスが作れるドラムのセットを鳴らした方が良いのでは?に立ち戻る気持で、以前からアコースティックなユニットの時や、狭い会場の時のみで使っていた、小ぶりでおもちゃにも見えるHipgigを試しにソロで使ってみる事にしてみた。
日本製は、特にYAMAHAは優れていて、小さな口径でもチューニング次第で割と大きな口径のドラムの音が作れるんだ。
PAを通せば、それ程フルドラムとの差が出ないのではとの期待が実り、歌をあまり浸食しない、ギターとの音絡みにも問題無く、外のPAのまとまりも良い、との評判を得る事が出来た。
それからはずっとHipgigを使うようになり、今ではソロライヴには欠かせない楽器になったと言う訳なんだ。


2014.10.07up
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◆上田雅利ソロLIVE Martinton 2014 ~When I'm Sixty-Four~
・09月27日(土)/千葉 柏・Studio WUU
・10月04日(土)/東京 吉祥寺・STAR PINE'S CAFE
・10月18日(土)/札幌 すすきの・BESSIE HALL
・10月25日(土)/広島 中区・LIVE JUKE
・11月01日(土)/仙台 青葉区・LIVE HOUSE enn 2nd
・11月08日(土)/名古屋 今池・TOKUZO
・11月15日(土)/大阪 心斎橋・OSAKA RUIDO
 出演:上田雅利/山本圭右

上田雅利 2014 SOLO TOUR
※バースディライヴツアー各公演の詳細はコチラから

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