Martintonの日々

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まさのぶちゃん☆ Sー1

正義感のかたまりな彼は、若い頃よくケンカをしてました。弱いものいじめが許せなかったのです。信じられないくらい、いつも他人の為の戦いでした。そして必ず負けはしませんでした。とても強かったのです。
柔道は黒帯でした。何段だったかは私は知りません。彼が福岡高校時代テレビで試合を見た記憶があります。
実は私も一時期、彼の勧めで始めました柔道!道場にも通い、高校ではクラブにも入りましたが似合いませんでした全てが。道場で彼にコテンパンに投げられた思い出が懐かしいです。犬の甘噛みのようなどこか優しさを伴った投げ方だったけど、受け身の未熟な私にはとても痛かったのを覚えています。
彼と私は またいとこ の間柄、兄啓蔵の上にもうひとり兄が生まれていたのですが、死産でした。まさのぶちゃんはその兄と同い年で、僕ら三人は実の兄弟のように遊んだものです。
博多の生家の裏に、むかし花屋があり彼はよく泊まりに来ていました。まさのぶちゃんのおじいさん(私の祖父 上田勝治のお兄さん)のお家です。甲高い「ま〜さの〜ぶ」と呼ぶおじいさんの声、それに答える低く太い声が蘇ります。
べこべこの柄杓で水瓶から水を掬い、床に置いた洗面器で顔をざっくり洗う、腰の手ぬぐいで拭く寝ぼけ眼の彼が、何故か格好良く見えたものです。
実は彼が長谷川法世さんの名作『博多っ子純情』の郷六平のモデルだったと云う噂があります。
出どころがまさのぶちゃん本人と云うのも笑えます。しかしまんざら嘘でもないらしいのです。法世さんとは誰憚る事のない親友同士、それに劇画的豪快さを本気で纏った人でした。ある種、憧れの存在でもありました幼い頃の私の。
どんたくに山笠、祭り好きでお酒が好きな彼が肝臓ガンで他界して6年、享年五十七才でした。


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2008.02.20

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