Martinton 06 〜アコースティック編〜

僕が生まれたのは1950年です。その頃、家には『エス』という犬が住んでいました。
彼は、すこぶる名犬でした。弱きを助け、強きをくじく。
野蛮な時代です。うちの人間や僕が彼にどれだけ助けられたことか・・・ という思い出がたくさんあります。
僕が4〜5歳の頃、エスが老衰のために他界しました。
悲しみに打ちひしがれていると、うちの親父が、(親父は上田利一といいます。僕は『リーチ君』と呼んでいました)ある日、リーチ君が言いました。「子犬をもらいに行こう!」

当時、僕はリーチ君のスクーターの後ろに乗り、丘、海辺、博多の魚市場、"ブラジレイロ"の2F?・・・色んなところによく行きました。
そのスクーターに乗って、子犬をもらいに行ったのです。
子犬の名前は『テツ』といいます。
テツ君はメイケン(迷犬)でした。すこぶる愛嬌のある犬でした。
テツは僕がTULIPで上京し、半年後に戻ってきた次の日まで生きていました。僕の帰りを待っていたのです。

テツが家に来た頃、親父は僕のことを『マーチントン』と呼び始めていました。『マサトシ』が呼びづらかったのでしょうか、何故か得意気でした。
親父のスクーターの後ろに乗っかり、テツを抱っこして帰ってきた頃の思い出を図案にしたのが今回のTシャツのデザインです。
何となく親父への思いがこもったデザインでもあります。


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