Special Long Interview

◆走るのは、嫌いでした。
競歩はもっと嫌いです(笑)。

……2005年バンド形式の初ライヴの際に、大きなスケッチブックの歌詞を見ながらハンドマイクで歌い、顔や身体がすっかり隠れてしまい、クレームが多く来ました。

上田:とにかくデカかったから(笑)、その歌詞カードを見ながら歌うと僕の身体が隠れてしまって良くないとスタッフからも言われ、何とかしなければと考え出したのが、走りの時間を利用して歌詞を覚えるという省エネ技(笑)。
景色を変えながらの暗記事は、思いの外効果が上がった。
とにかく1ステージを通して歌い、間違ったらその曲の始めから歌い直すというやり方。何回でも歌っている常連曲は、そこでもその曲の歴史が増えていくんだよね。外で走りながら歌うことによってより新たな表現が加わるんだ。
今は、走ることは膝の関係で(膝を痛めて)競歩に変えたけど。競歩になったからといって、やり方は変わらない。けど、走りの時よりも競歩はキツいから、その中で歌うのは大変(笑)。でも大変なものっていうのは、見返りも大きい気がする。
今年の夏の江ノ島ライヴもそうだし福岡もそうだったんだけど、間際で一生懸命かっ込んだら、走ってた時よりも効率がいいって事に気付いたんだ。

……そうなんですか?それは何故ですか?


上田:キツいからじゃないかな、競歩の方が。苦しい中で歌詞を懸命にリピートしていくから、刻み込まれる深さが違う感じがする。

……歌詞を間違ったら、また頭から、始められるんですよね?

上田:そう言う慣わし(笑)。で、例えば信号を見た瞬間に、いつも出てくる言葉が出てこなかったりするんだよね(笑)。で、その日、出てこなかったら帰って、もう一回用意して、次の日にやるとかね。意外なところが弱点だったりする。ポンポンと出てくるような場所で歌詞が出てこなくて。で、そういうのをなおざりにしていたら本番も出てこない、っていうのを経験したから。いつでも歌えると思ってた曲が歌えなかったとか、ポーンと歌詞が飛んで間違うとかあるから、そういうチェックの仕方も以前と違う。
今は以前ほど長い時間は走らないけど、ステージ分は全曲歌う、何かを飛ばしたりとかせずに全曲歌う。今回も、より磨きをかけてやる。本当はアンチョコを見て歌えれば一番安全だけど、そういう選択肢は身体都合上僕の中にないから。あえて、唱歌なんかの歌詞を手に持って歌うことはあるけど。
あとは全部丸暗記!面倒だけど、それが僕の人生だから。

……きっと、走るのが好きで走ってると思われている人が多いと思いますよ。

上田:そうだね。走りも、競歩も嫌いです。特に競歩は嫌いです(笑)。


2014.09.03up
icon Contents
Back