ヒサばあちゃんと古銭☆
まだ保育園(一年保育でした。)に上がるか上がらないかの頃だと思います。
曾祖父?もしくは曾祖母の葬儀に触れ人の死を身近に感じてしまい、その事から母親は自分より先に死ぬんだ!と思ったら、とめどない悲しみが込み上げて来て収まらなかった事がありました。
夕暮れ時の闇に引き込まれるようにしゃくり上げ、泣きつづける僕を目にしてヒサばあちゃんは、何故泣いているのかの訳は聞かず、まだ定まらぬ夜に対し少し薄暗く感じる床の間の蛍光灯の下、古いお金を何処からか持ち出して来ました。
そして、その真ん中に四角い穴の開いた錆びついた丸い古銭の云われと、いろんな場所を巡って、いろんな物事を見て来たであろうと云う一生話を、ゆっくりと語ってくれました。
その時の僕を取り囲んでいた悲しみとは別次元の不思議な話に、だんだん気持ちが楽になって行き、ばあちゃんの優しさにゆったり浸れて、救ってもらった事を覚えています。
一階の蒲鉾店はあわただしさがいっそう増す、クリスマスに近い夜でした。
Merry Christmas!
2010.12.24