☆煮豆好き☆
「サンキュウベリマッチ」おじさんの締めの言葉でした。紙のテトラパックのフタに爪楊枝を刺しながら。
昭和30年代前半の頃週に2・3度自転車を押して僕の横丁に来てくれていました♪ハンチング帽をかぶった煮豆売りのおじさん。低く優しい声をしていました。「マメー!青豆ー!マメー!お多福豆ー!」当時から豆好きだった僕はその声を耳にすると十円玉を握りしめ横丁に駆け出していました。僕の勢いにあおられて、まだ子犬のテツも分からず伴走していました♪暖かい三角の青豆の詰まった袋の爪楊枝を抜き取る瞬間の幸せが蘇ります☆
似たようなローテーションでやって来る きびだんご売りのおじさんは人気者でした。十円玉を差し出す子供達にペンキが剥げかかった赤い木の棒をまず手渡します。手回しの丸いレコード盤状の木製の板へ突き立てさせるのです!(フレンドパークの回転ダーツをイメージして下さい)レコード板の上に円グラフのように世界各国の名前が色分けして書いてありました。
おぼろげな映像を引きずり出すと、例えばアメリカは30%中国10%イギリス15%ドイツ10%イタリア10%フランス10%日本15%みたいに別れていて、アメリカに突き当てると、きびだんご二本、日本は大当たりの八本。今想うに、戦後の混沌と愛国心が絡んだおじさん流の割合になっていたようです。
未だあの味を越える[きびだんご]にも[青豆]にも出会っていません。勿論思い入れの強さから来るものですが!
紙芝居屋さんの『黄金バット』が僕らを釘付けにしていた時代です。二本の棒に絡められた水飴を両手でこねて、懸命にパールホワイトにするのを何故か競っていました。
2008.07.02