Martintonの日々

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ツーリング☆タイムトラベル♪

すべてが初めての頃、信号停止にも届かぬ幼い足は足掛けの上でした。
次第に背が伸びるに従い、父と同じ左側の足を精一杯伸ばし彼に気づかれないようにそっと一緒にスクーターを支えるようになり、背丈が父に迫る頃には、戦争で痛めた足に負担のないようにと、左足をどっかと地面に下ろし右足は爪先立って二人のスクーターをシッカと受け止めていました。

「マーチントン行くぞ!」リーチ君(父)の予告無しの不意な言葉に、行き先も知らずいつもスクーターの後ろに飛び乗っていました。
おそらく父なりに弱虫の息子の心をを喜ばす為の毎度思案のツーリングだったと思われます?
蒸気機関車がまだ全盛の時代、線路を跨ぐ歩行者用の鉄橋?(確かそう呼んでいました。)の上からの迫力の列車見物♪
エントツから吐き出される煙りの勢いに蒸せ驚きながらも汽車が通り過ぎる迫力の瞬間を、幅広の鉄橋を前後に走り声を上げ楽しんだものです。
ある時は街を臨む晴天な丘の上からの夕日を見に行ったり、またある時は閉園時間間際の動物園への束の間入園だったりで、突然の思いつきもあったのでしょう。
そしてほぼ日課だった珈琲店(ブラジレイロ)通いのお供も楽しみのひとつでした。
僕のリクエストだったかは不明ですが、早朝の魚市場の競り(その日製造する蒲鉾の素材吟味確保の為、毎朝午前2時半過ぎに市場に向かう父のスクーターが家から遠ざかる響き、忘れる事はありません。)への見学同行は、父の仕事場でもあり、凛々しい姿を目の前に緊張してたのを覚えています。
しかし殆ど何処に行くのか、何が待ち受けているか分からない、スクーターの後部座席はいつも胸ワクでした。
リーチ君のお尻あたりの手すり?をしっかり握りしめ、背中左右越しの記憶が鮮やかです。
今でも不意にそんな絵に浸れる瞬間、遠い過去が扉を開けイザナいます。
そう二人の思い出のスクーターはタイムマシンのようです。

まだ元気だったリーチ君との最後のドライブは音楽に目覚め出した頃、真夏の夕暮れ時の生の松原でした。ランニングシャツの形に肌を焦がし、街を抜けひたすら海を目指しました。 夕日と汐風と松林の中でスクーターを止め、何語らう事なくしばし時を過ごし、Uターンをして家路に着いた思い出は、今も何故か鮮明です。

今回のツアーはツーリング・タイムトラベル。先ずはリーチ君にプロ入りを反対されてた、チューリップデビュー当時に向かいます。
初代ベーシスト吉田彰☆
彼のあの思い出の歌を30年振りにステージで表現してみます。
そしてライヴでもなかなか聴けなかった安部俊幸の歌を僕なりにあの頃の思いを込めて形にしてみようと思っています♪
それに財津和夫の隠れた名曲にも挑戦して、姫野達也の有名曲も欲張って歌うつもりです。

さあ!38年の時を隔てたあの時代へ、皆さんとのツーリングです。


0401

2010.04.01

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